おやじの仕事 |
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![]() およそ5分間流れ、なかなか見ごたえのあるものに仕上がっていた。たった5分間、されど5分間。今回担当していただいたNHKの飯島記者は、撮影現場でも何度もボクに細かい部分の確認を取り、編集前にも電話で確認があった。ボクのメッセージを正確に伝えようとする努力は、たった5分間の映像かもしれないが、その中に凝縮されていたように思えた。もちろん天下のNHKさんに今回の本を紹介していただけたということも嬉しかったが、何物にも替えられない喜びは自分の子供たちに自分の仕事風景を見せられたことだった。 「お父さん、あんなふうに海の中でバタバタ泳いでいるんだぁ」「え〜っ!あんな怖い顔して海の中でおサカナの写真撮ってるんだね、なんか喧嘩してるみたい」「海の中にお花畑みたいなところがあるんだねぇ」4歳と7歳のどちらも娘だが、それぞれの感性に何か響くものがあったようだ。 ふと自分のことを思い出してみる。ボクの父親は読売新聞の記者をしていた。母親は、出版社・主婦の友社で雑誌の編集をし、編集長も経験していた。そんな家庭環境だったから、遠回りしながらもボクがこの道に進んだのは必然といえば必然だったのかもしれない。でも、昔からボクは絶対にマスコミ関係の仕事は絶対にするまいと心の奥底で思っていた。それは両親を見れば明らかだったのだが、時間は不規則だし、ストレスも多いようで口論は日常茶飯事。休みもあるのだかないのだかわからない。不満だらけの毎日で、何が面白くてこんな仕事しているのだろうという目で見ていたからだった。もちろん、自分の目で両親がそれぞれの場所でしている仕事の場面など見たこともなかった。 ![]() そんな状況下で、ボクがどんなことをやっているかというのを少なくとも自分の子供たちにはしっかりと見せられた。それは、どんなに巧に言葉で説明しようとしてもできないほどの説明をビジュアルはいとも簡単に成し遂げてくれたのだ。この力は絶大である。おやじの仕事する姿を見せることができた、そんな小さな満足感がポワンと広がりながら全身にしみこんでいくのを感じとれた朝だった。 |